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49 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2010/06/17(木) 23 04 01.79 0 リ*・一・リ<アルゼンチンと韓国は86年のメキシコワールドカップでも対戦しているの その試合でマラドーナをマークしていたのが今監督をやっている許丁茂なのね でも絶頂期だったマラドーナを止めることはできなかった・・・ そして24年の時を経て今度は2人は監督として対戦するのよ メッシと朴智星というそれぞれのチームのスター選手がどんなプレーをするのかとても楽しみだわ どちらを応援するかとても悩むけれど わたしはメッシ選手が大好きだからアルゼンチンを応援するわ あとマラドーナ監督の動きにも注目ね (o-ⅴ-)<・・・(スピー) 65 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2010/06/18(金) 23 40 13.27 Q ノソ*^o゚)<カメルーン戦は見事な試合でしたね 特に本田選手のゴール見事でしたね! リ*・一・リ<あのゴールにはとても興奮したわ あら、なっきぃは舞やめぐとは反応が違うのね なっきぃはサッカーに興味をお持ちなの? ノソ*^o゚)<私の父がサッカー好きなので私も少し知ってるんですよ リ*・一・リ<そうなの!!是非なっきぃのお父様とサッカーのお話をしてみたいわね あの場面、大きくサイドチェンジしてファーサイドの本田選手が左足シュート! 大会の始まる前に衛星放送でやっていた特番を見たのだけれど その番組で女性アイドルの方がシミュレーションしていた通りの得点だったわ 本田選手のシュートも落ち着いていたけれど、松井選手のクロスが見事だったわね 右コーナーに切れ込むと見せてそこから切り返して左足でクロスを入れた時点で得点を予感したわ さらに言えばその前の遠藤選手、私がこの試合一番注目した選手なんだけど(以下略 ノソ*^o゚)<(・・・・勉強にもこれぐらいの熱心さが欲しいケロ) TOP 次へ コメントルーム 今日 - 昨日 - 合計 -
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新シリーズ 001 本編 梅さん編 002 003 栞菜編 1 004 舞美編 005 マイマイ編 1 007 008 あっすー編 031 032 033 034 なっきぃ編 001 012 013 014 015 栞菜編 2 006 016 マイマイ編 2 023 024 025 043 044 フルーティーズ編 045 046 047 048 049 梅ちさブラ編 050 051 052 053 梨沙子編 063 064 065 066 067 068 思春期桃子編 069 070 071 072 茉麻編 081 082 083 084 085 千奈美編 094 マイマイ編3 095 096 097 098 099 100 101 102 ちっさー編 103 番外編 梅ちさ温泉編 009 010 011 愛理編 017 018 019 020 021 022 ちさまい逃避行編 026 027 028 029 030 ちさあいりデート編 035 036 037 038 039 040 041 042 メイドさん編 054 055 056 057 058 059 060 061 062 栞菜編 073 074 075 076 077 078 079 080 舞美編 086 087 088 089 なっきぃ編 090 091 092 093 梅さん編 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 番外者による番外編 001 002
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特別枠2 裏側 久し振り訪れたその場所は以前と変わって優しい空気に包まれている様な感じがした。 ……ちょっと違うかな? 以前にも増して優しくそして穏やかな空気が溢れている感じかな。 「ふふ。入ってきたばかりの頃の様に慌てふためくめぐの顔が浮かぶなぁ♪」 一切の連絡はしていない。千聖でさえ私がここに来た事を知らない。 全て彼女の手引き……メールのお陰。彼女も見た目と中身のギャップが違い過ぎるかもね。 もっとも演じている部分が多いかもしれないのだけど。 「喜んで……くれるかな」 ここを離れる時に辛い思いをさせてしまった。いっぱいいっぱい泣かせてしまった。 それでも手紙からメールへと変わった文通は変わらず私と千聖を繋げてくれている。 まだまだ周りとの擦れ違いは多い。「平気だよ」と言ってはみても傷つく事には変わらない。 きっと会ったらまた甘えてしまう。だから会わない。けど私と分かる様に。 「苺。……よく一緒に食べたよね」 そのままが一番美味しいのに練乳をかけて食べる千聖によく小言を言ってたなぁ。 そうだ! 彼女にも食べてもらおう。……待って。案外それが目的だったのかも。 从 ’w’)<で、試食の結果はどうだったの? 川´・_・リル* ’ー’リ从´∇`从从o゚ー゚从<特別枠2。『千葉のチャーハン』 ノl∂_∂ ル川*^∇^)||州*‘ -‘リ<総合評価……14点中14点(持点一人2点) 前へ TOP 次へ コメントルーム 今日 - 昨日 - 合計 -
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前へ 「じゃあ先に帰ってるからねー」 軍団の部室を確保できたことによるのか、満足感あふれる表情の熊井ちゃん。 彼女は僕にそう言うと、このサークル室を後にする。 ♪何だか 困ってるあなた~ 今日は 私の BIRTHDAY~♪ とても機嫌がいいのだろう。鼻歌交じりに去っていく、もぉ軍団自称リーダー。 お疲れ様でした。 このようにして熊井ちゃんが占領したアイドル同好会のサークル室。 そこを半分もぉ軍団の部室として使うため、彼女が帰ってしまったあと僕は一人残ってその仕切り設置作業を行っていた。 これが意外と大変な作業だということに、着手してから気付くことになったのだ。 そんな建材、入手するのにどこまで行けばいいんだよ・・・なんて思っていたら生協に売っていた。 この大学の生協は品揃えがとてつもなく豊富だとは聞いていたけど、そんなものまで売っているのか。 (ちなみにコ○ドームも各サイズ取り揃えて売ってるよ) 一応領収書を貰ったけど、これはどこに提出すればいいんだろう。 これ、経費としてちゃんと落ちるんだろうね? その購入した資材をサークル棟へ搬入するだけでも大変だったのだが、それを更に5階のこの部屋まで運び込むのが、これが一仕事だった。 狭い階段しかないこのサークル棟。予想以上に時間がかかってしまう。 そして、それを設置し終わったとき、もうすっかり日は暮れていて。 大体改装の終わった部屋を見つめているのはアイドル研の部長さん。 被害者といえる立場なのに、搬入を手伝ったりしてくれて。この桃ヲタさん、意外といい人である。 「このたびは災難でしたね。でも、これも運命なんだと思いますよ。あきらめてください」 どことなく放心状態に見える部長さんに声をかけると、部長さんは乾いた笑いをあげた。 「ははは。そうだな、まぁ別にいいよ。これはこれで楽しそうだし」 「そうです。そう前向きに捉える方が精神的にも負担にならないですみますよ。これからもいろいろあると思いますし」 固定するアンカーを打ち込んでいる僕に、部長さんが語りかける。 「それにしても、彼女、何者なの?」 「彼女は、・・・熊井ちゃんです」 この説明で通じるようになるところが正に大きな熊さんの真骨頂。 部長さんもその言葉の意味するところをはっきりと感じてくれたようで、何か悟ったかのような表情を浮かべた。 「少年も大変そうだな」 「そうでもないです。部長さんがさっき言ったのと同じように、僕もこれはこれで結構楽しいですから」 そう。 大学生活はまだ3日目だけど、何て刺激的な毎日なんだろう!(いい悪いは別にして・・・)、と本当に思うよ。 そしてその刺激はあの大きな熊さんの横にいられるからこそ経験できることで。 大学っていうところは面白いところなんだろうなとは思っていたけれど、ここまでとはね。 はい。これも全て熊井さんのおかげですから。 「もうこんな時間か。思ったより時間がかかっちゃいました。もう間に合わないかな」 「何か用事でもあったのか?」 「えぇ。いま知り合いの誕生パーティーをやってるんですよ。これが終わったら行こうと思ってたけど、思ったより時間がかかっちゃったんで」 そう、今日は梨沙子ちゃんの18歳の誕生日。 もぉ軍団プレゼンツの誕生パーティー。まさに今それを行っているはずだ。 りーちゃん、18歳の誕生日おめでとう。 高校生活も残るところあと1年だね。そんな梨沙子ちゃんの18歳の毎日が素敵な日々になりますように。 梨沙子ちゃんの誕生パーティー。軍団長の考えたサプライズ企画は上手くいったかな? サプライズで登場した雅さんの姿に、りーちゃん喜んでくれたかな。 そして、いきなり始まるBuono!ライブを楽しんでくれたかな。 僕もその場にいるはずだったのに。 18歳になった梨沙子ちゃんにお祝いの言葉をかけてあげるつもりだったのに。 同じ軍団員(僕は舎弟部門だけど)とはいえ、僕が梨沙子ちゃんとお話し出来る機会は少ないんだ。 でも、今日ならりーちゃんに話しかけたりしても何もおかしくない。今日なら気兼ねなくお話しすることができる。 軍団の中で唯一僕の心を癒してくれる、あのりーちゃんとお話しをするひととき・・・・ そしてそして、今日はBuono!の皆さんもお見えになるのだ。 だから、りーちゃんとお話しをしたあと、きっと今頃僕は愛理ちゃんの隣りに座って、そのかわいらしい笑顔を見ながら彼女とのお喋りだって楽しんでいるはずだったのに。 ・・・なーんて言ってみたけど、実際は愛理ちゃんの横に座るなんて恐れ多すぎて絶対ムリ。 実際はいざ彼女を前にしたら、緊張で意識は飛んでしまい体は硬直して固まってしまうだけで。いつものことだ。 でも、妄想の中の僕は愛理ちゃんの隣りに座る度胸もあるのだ。 ぎこちないながらも会話を交わすことで次第に僕らの心が通じ合っていくのが分かる。 そして、見つめあう2人・・・ そのように、僕は愛理ちゃんと。りーちゃんはもちろん雅さんの隣りで。それぞれ至福のひとときを過ごすはずだった。 (桃子さんと大きな熊さんは、お2人でどうぞごゆっくり) それなのに、僕はまだ大学のサークル室で作業中。 これから行っても、もう間に合わないだろう。 あぁ、愛理ちゃん・・・・ さようなら、愛理ちゃん。 でも、しょうがない。自分のやるべき仕事が終わらなかったんだから。 男だったら何よりも仕事が優先だ(涙目)。 うん。しょうがないことなんだ。いさぎよく諦めよう。 「じゃあ俺はもう帰るけど、頑張ってな。最後に戸締りだけしっかり頼むよ」 「はい、お疲れ様でした」 そう言って部長さんが帰ってしまうと、部室には僕だけとなった。 窓の外はもう真っ暗。一人だけになるとやけに寂しい。 作業もだいたい目処がついたし、ちょっと一休み。改装も終わりつつある部屋を見渡してみる。 我ながらなかなか綺麗にまとまったじゃないか。 いま設置したこの仕切りの向こう側は、アイドル研究会の部室なんだ。 さっき見たとおり、そこには大量の写真集やらDVDがある。 いまここにいるのは僕一人。他に誰もいない。 どれどれ、どんなのがあるのかちょっと見てみようか← 手にとってみたのは、「MIZUKI」というタイトルの写真集。 表紙には上品そうな女の子。 ページをめくってみるとアイドルの写真集らしくそこには水着の写真が。 うわー、マシュマロみたいだ。やわらけー・・・ 思わず食い入るように見てしまったが、そんな写真集やらDVDがここには大量にあるのです! これは何という宝の山。ここと共用の部室なんて素晴らしすぎる!! 思わずテンションが高まってしまったが、まぁもちつけw いま手にした写真集。慌てて見るのも勿体無い。じっくりと見たいな、これ。 そして、この付属のDVD。これはぜひ見てみたいという気持ちを抑えられない。 この写真集ちょっと借りていこうかなw 1日ぐらい借りてもいいよね。いいんじゃないかな。たぶんいいと思う。 よーし、これ借りちゃおう! お持ち帰りするつもりでその写真集を手にしたまま、更に本棚へと目を戻す。 目がとまったそのタイトルは、ファーストソロ写真集「千s 僕がそれに手を伸ばしたとき、ケータイの着信メロディーが鳴った。 この着メロ、熊井ちゃんからの電話だ。 伸ばした手を戻して、すぐに着信ボタンを押す。 「もしもし? いまどこ?」 いきなり用件のみ手短に聞いてくる。 そんなせっかちなところはいかにも彼女らしい。 「どこって、サークル室で作業中だけど」 「え?まだ大学なの? まだ作業してるの?」 「ちゃんと作業してるって! ほ、本当だから!」 「なにあせったような声だしてんのさ?」 「いや、あの、その、別に・・・」 「まぁいいや。それで、作業はもう終わりそう?」 「結構手間取っちゃったけど、でも丁度いま終わるところ」 その答えを聞いた熊井ちゃんの次のセリフは僕にとって予想外のものだった。 「それなら、まだ間に合うから急いで来て。待ってるんだからさ。まだ来ないのかって桃とも言ってたんだよ」 なんということでしょう!! 僕のことを待っててくれたりしていたのか! 熊井ちゃん、わざわざ電話をしてきて、そんなことを言ってくれるなんて。 仕事をしている僕のことを気に掛けていてくれたんだ!! さすがリーダー(自称)さんじゃないか。その彼女の心意気を感じて。 なんか胸に熱いものが一気にこみ上げてきたよ。 感激のあまり、思わず言葉に詰まってしまった。 「・・・・・・・」 「ちょっと!聞いてるの?」 「分かった!! フルスピードで向かうから。ごめん、もうちょっとだけ待ってて」 「大丈夫だよ。まだライブ終わるまでは時間あるから。でも早く来て。待ってるからね」 「熊井ちゃん・・・・」 みなさんが僕を待っててくれてるんだ・・・・ 心が暖かいもので満たされてきている僕の耳に、熊井ちゃんの明るい声はなおも続いた。 「だってさ、支払いをする人が来てくれないと困っちゃうでしょ? 分かった? だから早く来てね」 次へ TOP
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前へ “へー、千聖と名前で呼び合うようにねぇ・・・え、いや、なんでそんなことになったのー?おもしろーい!” 数日後の夜。 久しぶりにももと電話しているときに、ふと話題になったこと。 ももは電話越し、クッションかなんかをボフボフ叩いて笑っている。う・・・うるさい。大学生になっても、相変わらずテンションが上がると誰よりも騒がしくなるところは変わっていないみたいだ。 “よかったじゃん、距離が縮まった感じ?” 「んー、まあねぇ」 “どったの?何か不満でも?” 「不満っていうかぁ」 私は机に手を伸ばすと、置いてあったピンク色の封筒に手を伸ばした。 「今日の放課後にね、岡井さ・・・ちさ、と、から手紙をもらったわけ」 “ほー。あの子、手紙大好きだもんね。なんて書いてあるの?” 「んー」 【ごきげんよう、梨沙子。 梨沙子、今日の体育のバスケットボール、楽しかったわね。 梨沙子がパスを上手に繋いでくれたから、たくさん得点ができました。 そういえば、梨沙子の新しいお花柄のペンケース、とても可愛らしいのね。 梨沙子はどちらのお店で、あのペンケースを買ったのかしら? ぜひ、梨沙子が懇意にしていらっしゃるお店を、紹介していただきたいです。 一人でなければ、外出ができるようになったので、梨沙子とお買い物に行けたら嬉しいわ。 梨沙子がお好きな、みそばたーちゃーしゅーめんのお店にも、ぜひ連れて行っていただけたらと思います。 今日、梨沙子がお昼に召し上がっていたインスタントラーメン、1口いただいて、大変美味でした。 あちらは、梨沙子がこんびにえんすすとあで購入なさったのかしら?今度、千聖も連れて行ってね。 今夜は北風が強く、冷え込むと聞いています。すぎゃさんもお体に気をつけて。かしこ】 “・・・・あはははは!!1行に1回梨沙子!!” 「・・・しかも最後の最後には“すぎゃさん”って、コピペの改変じゃないんだから」 “よっぽど梨沙子って呼べたのが嬉しいみたいだねぇ。可愛いやつ。ウフフ” ももは笑ってるけど、この梨沙子連発レター・・・実際、自分の名前でやられると、なかなかに恐ろしいものがある。 岡井さんだってわかってるからいいものの、差出人不明とかだったら、失神して保健室モノだ。 それに・・・。 「何かね、でも、岡井さん、実際“梨沙子”って、声に出して呼んでこないんだよー」 “ん?どゆこと?” ――そう。 岡・・・ち・・さと、ったら、結局私の名前を言ってくれたのは最初だけで、最近じゃ近寄ると、もじもじして逃げていく始末。 でも手紙ではこんなだし・・・そのくせ、私がうっかり“岡井さん”よびすると、本気で悲しそうな顔をする。 あの子犬顔の効果もあって、罪悪感もはんぱない。 “えー、困ったちゃんだねぇ、千聖の奴ぅ” 「なんかぁ、夏・・Buono!の話もままらならないし、どうしたいのよって感じ」 せっかくの夏焼先輩の新作(アン)オフィシャル生写真、渡しそびれちゃってるんですけど! 貴重な夏焼先輩ファン仲間だし、もっと盛り上がりたいんだけどな。岡井さんってやっぱり、じゃなくて、ちさとってやっぱり変な子! “うふふふ” 「なーんで笑うんだよぅ」 “だってぇ、梨沙子みたいな甘えんぼうちゃんが、友達に振り回されてるなんて珍しくてぇ。うんうん、青春だねぇ” 「もー、からかわないでよ。何かいい案ない?千奈美は呼び捨て羨ましい!とか噛み合わないこと言うし、茉麻は子供同士で解決なさいとか言うし、熊井ちゃんは明らかに頼って欲しそうな顔してるけど、絶対やめたほうがいいし」 “それでもぉを頼ってきたわけねぇ。ウフフ、可愛いぞ、梨沙子♪” 「まあ、ちょっとアレな人のほうが、フツー考えつかないようなアイデア出してくれたりするしね」 “おいっ!” 卒業生を頼るのもなんだけど、この件に関してはももが適任で間違いないだろう(舞ちゃんは無理。絶対無理)。 それに、ももには言わないけど、絶対言ってあげないけど、・・・全然、声聞いてなかったから、ちょっと寂しかったっていうのもある。 “ねー、梨沙子” 「んー」 この、ちょっと低くて太い“素の”ももの声を聞いていると、安心する。 はちゃめちゃなキャラクターだけど、ももはやけに人を落ち着かせるタイプだと思う。・・・教職、向いてるんじゃないかな。なーんて、ももには絶対絶対(ry “うふふ、梨沙子ちゃーん” 「なーに?」 “まー、もぉの手に掛かればぁ、ねえ?” 「ねー、もったいんぶんないでよぉ」 私からのクレームを、許してにゃん♪とかいって軽く流すもも。そのまま、話を続ける。 “私、明日行くね” 「ん?学園に?」 うわー、明日定期服装検査なのに・・・。ふーきいんちょーさん、ぶっ倒れちゃうんじゃないかな。別の日にしたほうがいいんじゃ・・・ だけど、ももは続けて意外なことを言った。 “学園じゃないよぉ。もぉだってぇ、教育学部のエースとして、学生生活が忙しいわけですし” 「じゃ、なんなのさ」 “だからあ、明日、梨沙子んち行くから!千聖もつれて!” 「・・・はあああ!?」 一呼吸置いてからの私の絶叫に、うるさい!と弟からクレームの壁ドンが来た。 次へ TOP
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前へ 「わ、私にどうしろっていうの」 なんで他人のダイエットのことで、このような理不尽な目に合わなきゃならないんだ。 そう思っていると、「りーちゃん、他人事じゃないんだからねっ」と舞ちゃんの一睨み。 「りーちゃんも負けず劣らず、ぷくぷくぽん」 「あばばば、そりは言わんといてぇ」 もう、舞ちゃんたら容赦ないんだから! 自覚はあったものの、親以外の人に言われたのは初めてだ。 だけどあんまり躊躇せず言うもんだから、カチンときたりはしない。あ、はい、ですよねー・・・みたいな。 意外と気難しいと称される私には珍しい事だ。 それはきっと、舞ちゃんがとても素直でウソのない性格だから。私的には、有原さんみたくねっちょり責められるよりも説得力があるような気がした。 「決めた!ちしゃともりーちゃんも、2人まとめて舞が面倒見るでしゅ! りーちゃん。今日のお昼ごはん、お弁当?」 「ううん。今日は学食にしようかと」 答えてから、しまった!と思ったけれどもう襲い。 みるみるうちに、舞ちゃんの可愛らしいお顔が、ドS様のそれに変化していく。 残念ながら私はMっ子じゃないので、舞様舞様オシオキキボンヌというわけには行かず、悪寒が体を突き抜けた。 「ちょうどよかったでしゅ。 舞特製のダイエットランチ、りーちゃんにも堪能してもらわないと。 ちしゃと、りーちゃん。後でお昼にね。楽しみにしてろでしゅ。ケッケッケ。 ほら栞菜、行くよ!」 「引っ張るなコラ!ぷにぷにシスターズよ、また後でね!絶対に阻止してやるかんな!グヒョヒョヒョヒョ」 歩きながらケータイを開いて、「ランチ1人前追加でしゅ。はぁ?オメーが学園にもってこいでしゅ!」とどこかに電話する舞ちゃん。いや、舞様。命令口調がナチュラルすぎる。 ザワ・・・ザワ・・・ 嵐の如く、学園の有名人が去っていった後、私たちはクラスメートからの好奇の眼差しに晒されることとなった。 「お、岡井さぁん」 「気になさらないで、すぎゃさん。 千聖たちにお付き合いいただくことはないわ。まったく、舞ったら強引なんだから・・・」 「ん、でもいいよ。今日は舞ちゃんのプランに乗っかってみる」 そう言うと、岡井さんは不思議そうな顔をしながらも、曖昧にうなずいてくれた。 ・・・まあ、私もお年頃ですし。ちょっとぐらい、ダイエット的な何かを体験してみてもいいんじゃないかと思う(ラーメン立ち寄りはやめないけどね!)。 * 「さーて、お待ちかねの時間がやってきたかんな!」 それから2時間後のランチタイム。 私たちは舞ちゃんのテリトリー、屋上の給水塔の影に座り込んでいた。 「何で栞菜まで来たんでしゅか」 「はーん、お嬢様在る所栞菜も在りって諺知らないの?」 「そんな諺あってたまるか」 「舞、栞菜、そんなことよりも、千聖はおなかがすいてしまったわ。早くお弁当を出してちょうだい」 岡井さんにせかされて、舞ちゃんはバッグからピンクの小さめなお重を2つ取り出した。いつもの岡井さんのお弁当箱だ。 「ごめんね、私の分まで。本当にいいの?」 「気にしないで。舞はレシピ考案しただけだし」 「調理は?」 「家来が。さっき追加分も持ってこさせたの」 「もう、舞ったら。おとなしいからといって、あの執事をあまり苛めないであげてちょうだい」 メッ、って感じに窘められて、若干嬉しそうな舞ちゃん。私にもやっとわかってきたぞ、この辺りの力関係が。 それにしても、舞ちゃんって家来とかいるんだ・・・。執事さんってことは、男の人なんだよね?全く未知の領域だ。お料理なんか、できるものなのかな? 「さ、開けて開けて!」 舞ちゃんにせかされて、岡井さんとせーのでお弁当の蓋を開けた。 「・・・・えー、と」 ・・・何ていうか、プルプルした素材のものが、そこにはぎっしりと詰まっていた。 「初日のメニューは寒天でしゅ。舞特製・超超超低カロリー弁当、どうぞ召し上がれ!」 舞ちゃんは天使のように可愛らしい笑顔で、さも楽しげに私たちを促した。 ・・・ああ、そうですね。いかにもカロリーありませんって感じだ。 ピンクやオレンジ、黄緑色に着色されて、星とかハートにくりぬかれた寒天達。お弁当用の串とかいっぱい使って、盛り付け方も可愛らしい。舞ちゃんのセンスか、家来さんのセンスか知らないけれど。 私はおそるおそる、真っ赤なお星様の寒天を口に運んだ。 「どう?」 「・・・おいしい。トマト味?」 「うん。野菜とか果物を磨り潰して、ピューレにしたんだってさ。糖分は一切使ってないみたい」 「それはまた、手の込んだことを・・・」 あれもたまには役にたつこともあるんでしゅね、とつぶやく顔は、完全に女王様だった。 「どう、ちしゃとは?美味しいの?」 「ええ・・・おいしいわ」 あいまいにうなずいた岡井さんは、うかない表情。 目が合うと、すがるような表情を浮かべてきた。 「・・・うん」 「・・・ええ」 何となく、言いたいことはわかる。 たしかに、野菜と果物の寒天は美味しい。・・・これがおやつだったら、良かっただろう。でも今は、ランチタイムなのだ。 くいしんぼうでしょっぱいもの大好きな私たちには、もの足りないどころの騒ぎじゃない。 そもそも、寒天ってお弁当箱いっぱいに詰め込んで食べるものじゃないし・・・食感もぷるぷるなだけで単調だし・・・味は薄目に抑えられてるし・・・ 「さぁーて、私もお弁当食べるかんなっ」 そんな私たちをあざ笑うかのように、有原さんはおもむろにランチボックスを開く。途端に広がる、スパイシーな香り。 「・・・まあ、栞菜ったら!」 手のひらサイズの密閉容器が3個。 そこに、本格インド料理屋さんで出されるみたいなカレーが詰まっていた。 「付け合せはタンドリーチキン、チーズナン。美味しそうだかんな。ナマステー」 「あっ、ちょっと栞菜!舞の家来勝手に使わないでくれる?どーせ作らせたんでしょ?ってか、そういうお弁当でちしゃとの気引かないでよね!」 ・・・よくわかんないけど、ご愁傷様です、家来さん。 「はーん?最初に言ったはずだよ。私はお嬢様のダイエットには賛成してないんだかんな。お嬢様、辛ーい料理はお好きですよね?寒天なんてやめて、こっち食べるかんな! バターチキンカレー、グリーンカレー、レッドカレー。おやおや、下の段にはフライドチキンもあるみたい」 「カレー・・・」 「ダメ、ちしゃと!」 虚ろな表情で、栞菜さんのお弁当に引き寄せられる岡井さん。 その襟首をガッと掴んで、引き戻す舞ちゃん。つりあがっていく岡井さんの目じり。・・・ああ、修羅場が始まりそうだ。 私は寒天をもぐもぐ、若干御三方と距離を置いて、給水等の影に避難した。 「・・・少しぐらい、いいじゃない、舞」 「だめ!一口食べたら、もっともっとってなるでしょ、ちしゃとの場合。そんなカロリーの高いもん」 「あら、カロリーは1つの目安にすぎないのよ。カレーはカプサイシンやスパイスで新陳代謝が良くなって云々」 「・・・ったくちしゃとのくせに、そういう知識だけはいっちょまえに!とにかく、屁理屈言わないで今日は寒天!」 「フガフガフガフガ!」 じゅるり。美少女のキャットファイト、最高だかんな・・・ 有原さんがケータイのムービーを構えるのを、私は涙目で見守った。寒天を食しながら。 もしかしてこの人・・・岡井さんのダイエット妨害のために、ハイカロリー弁当を持ち込んだんじゃなくて、最初からちさまいバトルをハァハァしながら観覧するために・・・?ああ、もうこれ以上このことについて考えるのは危険な気がしてきた。 「ごちそーさま・・・」 菅谷、じみーに寒天完食。 そのまま3人にバレないよう、抜き足差し足で給水等を降りた。 岡井さんには申し訳ないけれど、私のような一般人には、とても付き合いきれる世界ではなさそうなので・・・。とりあえず、ダイエット的な体験も出来た事だし、ここでドロップアウト! 屋上から階段でおりつつ、私はケータイをパカッと開いて、アドレス帳から番号を呼び出す。 「もしもーし、熊井ちゃん?今日の放課後なんだけど、新しいラーメン屋さん見つけたんだぁ。厚切りチャーシューで、味噌とんこつベースでぇ・・・」 次へ TOP
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前へ 「なーんーで梨沙子がこんなとこにいるんだよっ」 アイドルモードを一時停止させた、少々ドスの効いた声のももちゃんが、ずんずんと大また歩きでこっちに迫ってくる。 ステージではぶりぶりっこで、顔立ちの幼さを最大限に駆使したパフォーマンスを繰り広げているというのに、アイドルの舞台裏ってこえええ・・・。 薄桃色の可愛らしい衣装とのギャップも相まって、なかなかにホラーな光景だ。 「ここ、関係者専用口じゃないんでしょ?だったら、私がどこにいたって別にいいじゃーん。関係ないじゃーん」 だけど、りーちゃんは全然ビビッていない。さすがもぉ軍団。 むしろ、「ももふぜいがあたしに注意とかwww」みたいなテンションで、ますますももちゃんのほっぺたが紅潮していく。 「ももちゃん・・・ステージは?」 「ん?大丈夫。今アンコール前の休憩中だからね」 おざなりながらも、一応質問に答えてくれるももちゃん。だけど、その視線はガッチリりーちゃんにロックオンされたままで・・・ 「前半、最前で楽しそうにしてたくせに。何で急にいなくなるの?もぉのステージング、ダメだった?」 「そんなことはないわ。今日のももちゃんのパフォーマンス、とても素晴らしいと思うわ。千聖はしっかり見ていたもの。でも、すぎゃさんは夏焼のファンでいらっしゃるから、その、ももちゃんのことは・・・」 「そうそう、もともと別に梨沙子もものことは大して見てなかっただろうし、気にすることないって!はいドンマイ!」 「・・・貴様ら」 ・・・うわ、出た熊井ちゃん。これはうっとうしい事になりそうだ。 千聖も熊井さんも、天然で人を凹ませる天才なもんだから、ももちゃんもがっくしと肩を落としてしまった。 「あれー?もしかして梨沙子に見て欲しかったのに、居ないから怒っちゃったのー?あはは、でもでも、どーせ梨沙子はさぁ」 「・・・熊井ちゃん、その辺で勘弁してあげなさいって」 須藤さんの制止は一歩遅かったようだ。 ももちゃんはすっかりいじけてしまって、マンガのようにうずくまって床にイジイジと文字を書いて撃沈している。 「・・・ふんっ、どーせもぉの頑張ってる姿なんて、どーでもいいんだろうけどっ!でもねもぉだって一生懸命やってんのにさ、団員が見てないとかどーゆー仕打ちなの?これ」 ・・・あ、ちょっと可愛い。 ぶりぶりももちゃんじゃない状態を知っているからこそ、こういう素の状態で子供っぽくなっている姿は新鮮だと思う。 「もも、大丈夫!ウチはちゃんと見てたよ、ももがオープニングの曲でワンテンポ遅れたとことか、その次の次の曲の大サビで声裏返っちゃったのもわかったし」 「ムキー!!」 大爆発を起こすも、熊井ちゃんはニヘニヘと笑って流しちゃうもんだから、全然怖い雰囲気にならない。ちょっと面白くなってきてしまったのか、千聖なんてうつむいてぷるぷると肩を震わせている。 「もも・・・ごめんね」 すると、りーちゃんが両手でももちゃんの手を取った。 「私、夏焼先輩が大好きだから、やっぱりどうしても夏焼先輩の方ばっか見ちゃうのね。 でも、ももが頑張ってるのもちゃんと見えてたよ?(微妙に) 歌声も、可愛くてすっごく響いてた!(気がする) MCも、さすがももって感じで、面白かったし!(多分) だから、全然見てないなんてことはないから。ね?」 ――こ、こ、こ、この女・・・結構やりやがるな・・・! ℃変態とともに「サトリ」呼ばわりされちゃうぐらい、人の気持ちをエスパーできちゃう私には、長い睫毛をはためかせて可愛く甘えるりーちゃんの、言外にある本音がとってもよく伝わってくるのだった。 「・・そーお?まあ、見てたならいいけどぉ」 「いいのかよ」 ・・・本当、来年はトリオ漫才でもやったほうがいいんじゃないの、もぉ軍団。 「・・・ま、でもね。何となくわかってるから。梨沙子がどうしてここにいるのか。みやのことでしょ」 ふと、ももちゃんが真顔になる。 「みやが今日、気合い入ってるのが気になって、探り入れにきた感じ?」 「ももぉ」 「さすがみやのガチファンだね。・・・まあ、ちょっと開演寸前にいろいろあってさ。長年の心のつかえがいきなり取れたもんだから、みやも上手く心の制御が出来なくなってるの」 「いろいろって?夏焼先輩の心に引っかかってたのって?」 りーちゃんは必死に詰め寄るけれど、ももちゃんは涼しい顔でそれを受け流す。 「それはみやにしかわからないことだからね。ウフフ でも梨沙子、考えてごらん。逆に、こんな浮かれたみやを見られるのは今年だけかもしれないんだよ」 「今年だけ・・・」 「そう。梨沙子は超レアな状況に遭遇してるっていうのに、こんなとこにいていいの?もったいなくない?」 ・・・なるほど、うまいな。 ももちゃんからの説得を受けて、りーちゃんは「そうだよね」とつぶやき、いきなり立ち上がった。 「そう、そうだ!あたし、何血迷ってたんだろ。 今年の夏焼先輩には、今年しか会えないっていうのに!」 「そうだよ梨沙子!」 「こうしている間にも、夏焼先輩の体内では新たな細胞が分裂や収縮を繰り返しているわけで」 「う・・・うん」 「1秒先の夏焼先輩は、1秒前の夏焼先輩とは違うんだもんねっ。なんてもったいないこと!こうなったら、アンコールは最前でオペラグラス使うから。皮膚の質感から頭皮の水分バランスまで徹底的に目に焼き付けるもん!」 ――先日、栞菜が読んでた高校生向けのファッション雑誌に、こんなことが書いてあった。 “何かに夢中になってる女の子って、とっても素敵!ひたむきでポジティブな恋するオーラが恋愛運を(ry” 「どこが素敵やねん」 引きつった顔の須藤さんと目が合う。ももちゃんも失笑気味。熊井ちゃんに至っては飽きてウトウトしだしているこの状況の中、なぜかキラキラした瞳でりーちゃんに駆け寄る子犬、1匹。 「すぎゃさんっ」 「おう!」 お得意のちょっとむかつく(キリッ)顔で、千聖は声高に語りだす。 「すぎゃさんの雅さんへの愛情、とても深く胸にしみこんだわ」 「おう!」 「さあ、今度はその暖かなお気持ちを、観覧席から雅さんへ届けましょう!お名前を呼びながら、席へ戻るのよ!すぎゃさんっ」 「おう!」 「ちょ、おま」 「みーやび!オイッ!みーやび!オイッ!」 「みーやび!オィッ!みーやび!オイッ!」 「「みーやび!オイッ!みーやび!オイッ!」」 「呼んだ?」 「ひぎぃ!」 コント番組のように、りーちゃんが横っ飛びで床に崩れ落ちる。 ――アカン、もうグダグダやでぇ・・・ 視界の隅っこで、須藤さんが天を仰いだ。 次へ TOP
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前へ 八日目 裏側 トンッ。 テーブルに置かれた一皿の炒飯。 熊井友理奈作。調味料に塩、胡椒、コンソメを使用した『神奈川のチャーハン』 「せ~~の」 「「「「「「いただきま~~す!!」」」」」」 小皿に各自で小分けして一斉に口へと炒飯を運んだ。 「シンプルな味付けだねぇ」 「でもこういう味付けの方が反って難しかったりするとゆいたい」 「具材……結構大きめに切られてるね」 「食感はいいんだけどちょっと食べ辛いかなぁ」 「あぁ、そうかも。でも普通に美味しいよね」 「だって熊井ちゃん。 って目付き変わってるよ!?」 六人の前には具材の大きさを指摘され氷の皇帝に変わった熊井ちゃんがいたそうな……。 「「「「「「ご、ごちそうさまでした~~」」」」」」 「お粗末様でした」 八日目。『神奈川のチャーハン』 総合評価……10点中7点(持点一人2点) 川+^∇^)||<どうせ、とてもとても大きな熊さんですよッ!! 川;´・_・リル; ’ー’リ从;´∇`从从;゚ー゚从ノノl;∂_∂ ル州;‘ -‘リ<そんな事言ってない… 次へ TOP
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前へ ホームルームのあと、今日は進路指導があった。 あらかじめ届け出ている志望をもとに、進路の方向性を具体的にある程度絞り込んでいくのだ。 もうそんな時期に来ているんだな。 進路指導を行うという今日の二者面談。 他の生徒の面談は順調に進んでいたようなのに、僕の面談だけは何故か異様に長かった。 長い進路指導の時間を終えると、僕は生徒会室へと向かった。 今日は生徒会の仕事があるのだ。 生徒会室のドアを開けると、そこには小春ちゃんがいた。 「進路指導、いま終わったの? 遅かったねー」 「うん。なんか、たっぷり説教されちゃったよ・・・」 「説教って、進路指導じゃなかったの? そんなに成績悪かったんだ」 まぁ、確かに僕はそっち方面でも先生から説教受けそうだけど、いま受けてきた説教はその事では無い。 「進路指導のはずだったのに、その前にお前には生活態度のことで聞きたいことがたくさんあるとか言われて」 「そうなんだー。それは長くなるはずだね」 小春ちゃんの顔が、わくわくとした楽しげな感じに変わってきた。 「最近遅刻はやたら多いし、生活がたるんでる証拠だって言われた。 応援団の上級生からも目を付けられてるようだし、あろうことか警察から電話はかかってくるし、どうなってるんだって。 まずそういう態度を改めて、学生の本分とは何かを真面目に考えろって言われた」 なんで、この僕がそんなことを言われるようになってしまったのだろう。 僕は、どっちかというと入学以来ずっと真面目な方のキャラクターだったはずだ。 先生の手を煩わせたりすることなど殆ど無い、ごくごく普通の善良な一般生徒だったはず。 そんな僕が、どうして生活態度を改めろなどと言われるようなことになっているのだろう。 生活態度が悪いなんて、去年の面談では一回も言われたことなんか無かったのに。 「1年の頃はこんなこと無かっただろ。何かあったのか?」 とか、先生から真顔で聞かれる始末。 心当たりは、あります。 ありますけど、言ってもしょうがないことは言ってもしょうがないことだ。 運命だと思って、あきらめて受け入れるしかないんだ。 「そんなこと言われたんだー。あははははは」 「笑い事じゃないよ、小春ちゃん」 「だってさー、面白すぎだよw 小説でも読んでるみたい。ある時期を境に謎のキャラ替え。あははは」 「キャラ替えって・・・僕はいつだって変わらず僕のままなのに」 「でもさ、先生からそんなこと言われるなんて、そんなのむしろ光栄でしょ? うちの学校はやったもん勝ちの校風なんだから」 「まぁ、そうなんだけど、言われるにしても内容が何と言うか僕的に不本意っていうか・・・」 「大体なんで僕は、こんなに校内のいろいろな人から目を付けられてるんだろう」 「いろいろな人って?」 「まず先生でしょ。それから応援団の人たち」 「応援団の人たちとも関わってるんだ」 「関わってるというか、マークされてるみたいなんだ。あの日以来ね」 そう、あの日。 熊井ちゃんがこの学校に乗り込んで来たあの日から、この学校での僕の立ち位置が変化したのだ。 「あの人たち礼儀作法にうるさくって。会ったら直立不動で挨拶しなきゃならないんだよ。 何で一般生徒の僕にまで・・・今までは全然関係無かったのに」 「あとは、親衛隊の人たち・・・」 「親衛隊?」 うん、そうだよ。小春ちゃん・・・ 「小春ちゃん、あの人たち、なんとかならないんですかね」 「なんとかって?」 「なんか、あの人たちからずっと見張られてる感じがするんだよね。怖くてしょうがないんだけど」 「会うと露骨に睨んでくる奴もいるし。でも、睨みつけてくるだけで直接は絡んできたりしないんだけどね」 久住小春親衛隊の連中、僕のことを恐れているんだな。 まぁ、硬派で知られるこの僕には、さすがの久住小春親衛隊の連中も手を出せないってことだ。 「ま、親衛隊といえど、この僕にケンカを売ろうなんて、そんな度胸のある奴はそうそういないだろうけどさ(キリッ」 実は、親衛隊の人達が僕に直接的に手を下したりしてこないのは、もちろん別の理由があるからなのだ。 その理由を、このときの僕は全く知らなかった。 それは、あの時僕と一緒にいた彼女のおかげだということ。 あの出来事のあと、泣く子も黙る久住小春親衛隊からもすっかり一目置かれる存在となっていた彼女。 そう、熊井ちゃんの存在こそが、彼らのブレーキになっているのだった。 親衛隊の人達から僕を守ってくれているのが熊井ちゃんだなんて。 それを知るのは、この後ずっと時間が経ってからのことになるのだが、今の僕はそんなこと全く知る由も無いのだった。 「そうなんだー。でもあの人たち、私にはすっごく親切にしてくれるんだよ」 「そりゃそうだよ。小春ちゃんのことを絶対神だと思ってるような人たちなんだから」 「まぁ、仲良くね。みんなで楽しくやろうよ」 それは僕ではなく、是非彼らに言ってあげて下さい。 小春ちゃんの言うことなら素直に聞くだろうから。 「そんな感じでさ。応援団に親衛隊。この人達のせいで僕の学校生活は毎日緊張の連続なんだよ」 自分の学校の中でぐらい、リラックスして過ごさせて欲しいんだよ。 ただでさえ、毎日毎日緊張から開放されない日々を送ってるんだから。 それもこれも原因は全てあれだ。 あの日この学校に殴りこんで来た熊井ちゃん、あの人が全ての元凶なのだ。 熊井ちゃん、本当に頼むよ。 なんで彼女は他校である僕の学校でそんな原因をつくってくれるんだ。 そして、何でこの僕がその影響をモロ被りすることになるんだ。 僕がため息をついていると、小春ちゃんが突然思いもかけないことを言い出した。 「その人達以外にも、不安材料はまだあるでしょ?」 「え?」 「ついこの前、うちの生徒会にあの学園の風紀委員長さんから直々に呼び出しがあってねー」 学園の風紀委員長さんって、それってなかさきちゃんのことじゃないか。 呼び出し? なーんか嫌な予感がするぞ。 「それでね、わたしが学園に行って話しを聞いてきたんだけど、うちの学校の生徒が学園の生徒につきまとったりしてて、とても迷惑してるんだって」 「そ、そんなことする人がいるんだ・・・」 「それでね、そういう風紀を乱す行為をする生徒を厳罰に処して欲しいっていう苦情だったんだけどね」 ニコニコ顔の小春ちゃんが顔を近づけてきた。 これすごく嬉しいんだけど、いま僕は小春ちゃんの言ったことに動揺を隠せず、それどころでは無かった。 「あははー、やっぱり心当たりがあるんだ!」 「学園の風紀委員長さんに名指しで苦情を入れられるなんて、そんなの初めてだよ。あはははは」 「名指し・・・なかさきちゃんが僕のことを名指しで・・・・」 「なかさきちゃんって、なっきぃのこと? そうやって呼ぶんだ」 「でも、そんな名前で呼ぶほどの仲なのに、なんでそんな苦情が来るようなことになってるのー?」 「僕にもよく分からないんだけど、いつのまにか事態が泥沼化してしまってて・・・ 本当に何故なんだろう」 本当に、どうして僕の学校生活はこんな風になってしまったのだろう。 校内を歩けば、応援団やら親衛隊だのといった余り関わりたくないような人達が僕のことをジロジロ見てくるし。 そして、ついに他の学校から名指しで苦情を入れられるようにまでなってしまった。 高校に入ったばかりのころ、僕の毎日はこんなでは無かった。 もっと落ち着いた、平凡だが平和な毎日を送っている、そんなごく普通の高校生だったはずだ。 それが、どうしてこうなった・・・ 「色々な人達から目を付けられたりして、ホントに楽しそうだねー」 明るく笑う小春ちゃん。 僕にとって笑い事じゃないんだよ、本当に、もう。 楽しくなんか無いから、全然。 次へ TOP
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前へ “昼休みは学食の席を取っておいてね” 大学に入っても僕は席取り係の役を当たり前のように続けさせられている。 熊井ちゃんに促されて学食の席取りに向うため教室を出ようとしたとき、クラスの女子からクスクス笑われてることに気付いたんだ。 なんか彼女たち、手に持ってるスマホの画面を指差しあいながら笑ってる・・・ また何かネットに転がってた面白画像でも見つけたりしたんだろうけど、僕を見て笑ってるのは何故だろう。まったく・・何だって言うんだ。 なにか今日は心が乱されることばかりが続く・・・・ 今日はそういう日なのだろうか。 ってことは、ひょっとしたらこのあともまだ・・・ 学食に着き、いつもと同じ場所の窓際のテーブルを確保(ここじゃないと自称リーダーの機嫌が悪くなるよ)。 無事に席を確保できたことでホッと一息つく。ようやく落ち着くことができた思いだ。 熊井ちゃんが来るまでの少しのあいだリラックスさせてもらおう。 そうやって一人で物思いにふけりながらボーッとしていると、僕が陣取っているテーブルの対面の席、その椅子を引いて座ってきた人がいた。 えっ? いくら混んでるとはいえ、一言の断りも無しに相席する気かよ。おいおい・・・ もぉ軍団のショバに座ろうだなんて、いい度胸してるな・・・ ここのしきたりってものを知らない新参か? でも、それを許したりしたら自称リーダーから僕が叱責されることになってしまうだろ。おいちょっとあなた! 目の前に座った人。 それは思いがけない人だった。 「よっ、少年!」 「も、桃子さん!?」 「ウフッ。来ちゃった♪」 軍団長、降臨。 (なるほど、確かに今日は心が乱されることが続く一日のようだと今あらためて痛切に実感・・・) 濃淡ピンクのチェック柄もまばゆいその格好。トレードマークの、その特異な二つ縛りの黒髪。 どちらかというと地味目なこの大学の学生の中で、明らかに異色と言うか浮きまくりの桃子さん。うん、さすがです。 そんな桃子さんが、僕に対してとっても楽しそうな視線を向けてくる。そう、いつものようにね。 この人のことだ。僕が大学生になってもおもちゃ扱いは変わらないってことなんだろう。いいんですけどね、別に・・・ 「ウフフフ。大学生になっても席取りの任務は変わらないんだ。得意中の得意技だもんね、席取りw」 「・・・それぐらいしか取り得もないですから、僕は。。。」 「あれ? なに?暗いじゃない。昨日はあんなに楽しんでたみたいだったのに」 「いえ、ちょっと・・・ ってか、桃子さんどうしてうちの大学に? それに、よくここが分かりましたね」 「もぉ軍団の部室が出来たって聞いたから遊びに来たの。この時間なら学食の席取りしてるはずだからって、くまいちょーから聞いてたからね。すぐ分かったよw」 僕らの大学にやってきた軍団長。 今日は部室の視察という名目で遊びにきたらしい。 遊びに来たって・・・ ひょっとしてこの人結構ヒマなのかな。 でも、桃子さんが来てくれたこと、僕は嬉しかったんだ。 いつも明るい桃子さん。その姿はいつだって見る人の気分をも明るくしてくれる。 今も、現れた桃子さんの姿を見て、落ち込みきっていた気持ちがちょっと上向いた。 それに、昨日は心残りがあったんだ。遅れて行ったそのライブが終わったあとも軍団長とは話すことが出来なかったんだから。 だから、僕はいま桃子さんと会えたことが結構嬉しかった。 「そうですか! それでうちの大学に!」 「うん。でもそれよりさ、お昼ごはんにしようよ。くまいちょーは来れないみたいだけど」 「えっ?来れないって・・・ ついさっき、席取りしておくように言ってたくせに。何をしてるんだろ。聞いてますか?」 「さっきメールしたら今ちょっと忙しいから先に食べてて!だって。で、後で部室で会おうね、ってそれだけ言ってたんだけど」 「そんな急に忙しくなったって、熊井ちゃん、何をし始めたんでしょう・・・・?」 「さあ? でもきっと楽しいことじゃない?ウフフフ」 桃子さんにとっては楽しいことでも、それが僕にとっても楽しいことだとは限らないわけで。 ------------- その頃、教室ではクラスメート全員を前に壇上から楽しそうに長説明を始めた熊井ちゃん。 川*^∇^)||<どうしてあいつが暗くなっているのか、説明しましょう!!(ドヤ顔) 川*^∇^)||<あいつがどうして暗くなってるのかというとー、どうせまた舞ちゃんが振り向いてくれなかったとか言っていじけてるだけでーw なんか暗くなってたけど、まぁいつものことだから何も心配しなくていいからねー! あまり構うと付け上がるから決して甘やかしたりしちゃダメだよ。 でー、舞ちゃんっていうのはー、あいつがもう何年もカタオモイの学園生の子です! 初めて見たときに一目惚れしちゃったんだけど、そのときの舞ちゃんはまだ中学2年生! あいつ、いくら若い女の子が好きだからって、ちゅ、中学生wプフォ それ以来、舞ちゃんにずっと付きまとっててー、勢い余って無謀にも告白したんだけどもちろん見事に玉砕しちゃったのねw キッパリと振られたのにそれでもあきらめきれなくて、今でも舞ちゃんのこと追い掛け回してるの。凄い粘着だよねー。 で、今朝もいつものように登校する舞ちゃんを待ち伏せしてたんだろうけど、案の定まったく相手にしてもらえなかったんだよきっと。 それであんなに暗くなっちゃったってわけw ハイ、このプロジェクターに注目! 舞ちゃんっていうのはこの子です!! http //chisamai.jp/img/cm_09318.jpg (おぉっ!!) あれ?間違えたw こっち!!この子が舞ちゃんです!! http //chisamai.jp/img/cm_09197.jpg (「こりゃ無理だろw」「身の程知らず過ぎるww」という声が教室中からあがる) ----------- カフェテリア方式の学食。プレートを持って列に並ぶ。 混雑しているこの時間。いつもの光景の中に、今はそこに桃子さんが並んでいる。すごい違和感だ。 実にシュールな光景だが、周りの人は見て見ぬ振りをしてスルーしている様子。これ、熊井ちゃんを見たときの周りの反応と全く同じだ。 さすがもぉ軍団の偉い人たち。まとっているオーラがケタ違いだよ・・・ 「立派な学食だねー。この建物ぜんぶ学食なんでしょ」 「まぁ、学食しか食べるところもないですから。ご覧の通りキャンパスは山の中ですからね」 「へー、メニューも豊富なんだね。少年、何にする?」 「そうですね、僕はからあげ定食にしようかな」 「じゃあ、もぉはこの超熟成牛ステーキカレーってのにするね、ごちそう様♪」 「・・・・僕がおごるんですか?」 「当たり前じゃない。ウフッ♥」 いつから当たり前になったんだろう。 もぉ軍団に関するカネの流れに関しては一度追求しようと思いつつもう何年も経っている気がする。 僕がバイトしてもバイトしても、その度に何か一方的に吸い上げられてるように感じること、それだって気のせいではないよね。 まぁそのあたり、指摘するのは何かアンタッチャブルなことに触れるようで、そんな勇気は僕にはとても無いんだけど。 もしそんなことしたら、あの大きな熊さんの逆鱗にでも触れて消さr・・・・ そういえば先日の誕生パーティーの店代のことだって、ちょっと納得いかないんですよね。 なんで開催にかかった経費を僕が一人で丸かぶりするのか。おかしいでしょ。 そのときのライブUSBとDVDであんなに儲けてるんだ(熊井ちゃんからその額を聞いて僕は腰を抜かした)。 だったら、儲けてる某事務所社員さん、あの店代ぐらいその莫大な売り上げの中から払ってくれてm・・・ 僕にはいろいろと腑に落ちない点があるが、その辺のことにあまり頭を突っ込むことはしない方がいいのかも。 何かアンタッチャブルなことに触れるようで(以下同文 あぁ、そのライブDVDの件も疑問なのだ。 熊井ちゃんは一人ホクホク顔で高笑いしていたけれど、あの映像の著作権(?)というものはBuono!の皆さんにあるんじゃないのか? DVD販売における収益の分配というかその辺のやりとりはどうなってるんだろう・・・ でもまぁ、それは僕が考えることじゃない。もぉ軍団とBuono!の皆さんの間の問題だ。僕には関係の無いこと。 だが、いま目の前にいる笑顔の桃子さんを見ていると、そのことが僕はとても心配になるのだ。 本当に僕は無関係でいられるのだろうか・・・ 熊井ちゃん!お願いだから、雅さんや愛理ちゃんには絶対に迷惑をかけないでね。そして桃子さんにも(←今はここを特に)! 「さあ食べよー!」 おいしそうに食べる桃子さん。見るからに美味しそうなステーキを一口食べては目を細めたりして。 その姿に、カワイイ・・なんてちょっと思ったが、そんなこと思ったこと僕は決しておくびにも出さない。 一方からあげに箸をつけた僕へ、軍団長が声を掛けてくる。 それは予想外の言葉だった。 「梨沙子の誕生パーティーはいろいろとお疲れさま」 軍団長の口から出たその信じられない単語に、僕は箸を持ったまま思わず固まってしまった。 「ア、アリガトウゴザイマス・・」 「梨沙子、喜んでたよー、すっごく」 「それは良かったです。桃子さんの企画、大成功だったんですね。さすが軍団長」 「それにしても、突然みやが現れたときの梨沙子のキモさったら(ry」 「いい企画でしたよね。・・・そうだ!こうやって梨沙子ちゃんの誕生パーティーも成功したことだし、あの!来週は愛理ちゃんの誕生日だし、その日も誕生パーティーしましょうよ」 「却下」 ぐんだんちょー即答。 直前からの一転してその不機嫌そうな表情。 「もぉのときはやんなかったくせにさぁ」 くちびるを尖らす桃子さん。 あ、これまたちょっとカワイイ・・・・ しかし、桃子さんの誕生日には何もしなかったこと、まだ根に持ってるのか。 だって、ちょうどその時期は毎年忙しいからどうしても忘れてしまu いやいや、そうじゃなくて僕は今年は受験もあったわけですし、しょうがなかったんですよ。 受験が終わったらもう授業も無いからそれからはずっとバイトに精を出してたし。 それに、そういうことは僕にじゃなくて、発言権のある軍団の上の方の人に言ってほしいんですよね。 「それにしても、さすがのライブでしたね。さすがBuono!の皆さん。梨沙子ちゃんも楽しんでたみたいで」 「梨沙子ねw あの子、みやのコールとか声デカすぎだからw まぁいつものことだけど、あの美声を惜しげもなく使ってさーw で、少年はどうだったの?楽しめた?」 「はい! 最後の初恋サイダーしか僕は見れなかったんですけど、感動しました!!」 「少年がピンクのサイリウム振ってくれてたから嬉しかったよ。でも、少年、推し変したの?」 いや、あれは緑サイを忘れたから、たまたまそこに誰も手をつけずに放置されてたピンクサイをこれでいいかとしょうがなく・・・ 「いえ、推し変とかそういうわけじゃないですけど、軍団長を応援するのは出来る団員の僕としては当然の行為(震え声)」 「そっか。もぉの魅力に、ついに少年もピンクサイを持つようになったんだね。分かるよ、その気持ち♥」 ニッコニコ顔の桃子さん。とても楽しそう。 「もぉのファンがまた一人増えちゃったか~。もぉがかわいすぎて、ゆるしてにゃん♪」 いや、だから、それ違u 「ピンク色のTシャツ、少年にも似合うと思うよ。次のライブでは是非着てきてね」 「いや、あのイラスト入りのピンク色のTシャツ、どこで売ってるのかも知らないですから」 あの独特のTシャツを着こなせるようになる為には、越えなければならない一線があるような気がする。 そして、僕はまだそこまでの覚悟というものを持ち得ていない。 「さて、そろそろ行こうか」 「えっ? 行くってどこにですか?」 「部室へだよ、我がもぉ軍団の。それにしても、くまいちょーすごいじゃない! もう学内に部室を確保しちゃったなんて」 「確保っていうか、強奪といった方が適切な行為でしたけどね」 「あはははw やっぱりそうなんだw」 「すごいですよ、熊井ちゃんの行動力は。どこからあのパワーが出てきてるんですかね。こうと決めたら猪突猛進で」 「くまいちょーは気が早いからねー。少年ものんびりとしてちゃダメでしょ。ほら、今だってそう。さっさと行動する!」 「ひとりで食事できるときぐらいのんびりとさせてくださいよ。ただでさえ引っ張りまわされてるんだから」 「なに言ってンの。さぁ早く行くよっ」 僕の言ったことはまともに聞き入れてはくれないという、もぉ軍団の人特有の僕に対するその対応。 ましてやこの人は軍団長なのだ。 若干あきらめが入った表情になっていたかもしれない僕に、桃子さんが殊更にこやかに告げる。 「じゃあ、少年に案内してもらおっかな」 次へ TOP